利食(TP)と損切(SL)は、リスクを管理する手法です。利食注文は利益を確定でき、特に変動の激しい市場において有効です。一方、損切注文は、潜在的な損失を抑えるのに役立ちます。
利食/損切注文、OCO注文、条件付き注文の違い
利食/損切注文は、条件付き注文と似ていますが、以下のような違いがあります。
注文タイプ |
資産の拘束ステータス |
利食/損切注文 |
利食/損切注文を発注した場合、注文がトリガーされる前でも資産が拘束されます。 |
OCO(ワン・キャンセル・ジ・アザー)注文 |
OCO注文を発注した場合、OCO注文の性質により、一方の注文証拠金のみが拘束されます。詳細については、こちらをご覧ください。 |
条件付き注文 |
条件付き注文を発注した場合、原資産の価格がトリガー価格に達するまで資産は拘束されません。必要な資産は、条件付き注文がトリガーされた後にのみ拘束されます。 |
現物取引における利食/損切のしくみ
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注文ゾーンで利食/損切注文を直接発注する
利食/損切注文では、トリガー価格、注文価格(指値注文)、注文数量を設定できます。資産は、利食/損切注文が発注された時点で拘束されます。最終取引価格が事前に設定したトリガー価格に達すると、現在の注文パラメータに応じて指値注文または成行注文が発注されます。
— 成行注文は、利用可能な最良市場価格で直ちに約定します。
— 指値注文は注文板に掲載され、指定した注文価格での約定待ちとなります。最良の売値/買値が注文価格よりも有利な場合、指値注文はその売値/買値で直ちに約定します。以上のように、指値注文は価格変動や注文板の流動性による影響を受けるため、約定は保証されていないことにご注意ください。
例
以下では、現在のBTC価格を20,000 USDTと仮定し、さまざまなトリガー価格や注文価格での利食/損切注文のシナリオを紹介します。
利食/損切成行売り注文 トリガー価格:19,000 USDT 注文価格:該当なし |
最終取引価格が利食/損切のトリガー価格である19,000 USDTに達すると、利食/損切注文がトリガーされます。成行売り注文が直ちに発注され、利用可能な最良市場価格で資産が売却されます。 |
利食/損切指値買い注文 トリガー価格:21,000 USDT 注文価格:20,000 USDT |
最終取引価格が利食/損切のトリガー価格である21,000 USDTに達すると、利食/損切注文がトリガーされます。注文板に20,000 USDTの注文価格で指値買いが発注され、約定待ちとなります。最終取引価格が20,000 USDTに達すると、注文は約定します。 |
利食/損切指値売り注文 トリガー価格:21,000 USDT 注文価格:21,000 USDT |
最終取引価格が利食/損切のトリガー価格である21,000 USDTに達すると、利食/損切注文がトリガーされます。 トリガー後の最良売値が21,050 USDTである場合、指値売り注文は注文価格よりも有利な(高い)価格で直ちに約定します(この場合は21,050 USDT)。 ただし、トリガー後に価格が注文価格を下回った場合には、21,000 USDTの指値売り注文が注文板に発注され、約定待ちとなります。 |
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指値注文の発注と同時に利食/損切注文を事前設定する(統合取引アカウントのみ)
指値注文を発注する際に、利食/損切注文を設定することもできます。指値注文が約定すると、事前に設定した価格と注文数量で、利食/損切注文が自動的に発注されます。
この手法は、一方の注文証拠金のみが拘束されるワン・キャンセル・ジ・アザー(OCO)注文のロジックと整合しています。トレーダーは、1つの資産に対して、成行注文または指値注文として利食/損切注文を同時に発注できます。一方の注文がトリガーされると、もう一方の注文は自動的にキャンセルされます。ただし、利食/損切指値注文を発注する場合には注意点があります。利食/損切指値注文がトリガーされると、もう一方の利食/損切注文が直ちにキャンセルされる点です。利食/損切指値注文がまだ約定しなくても、直ちにキャンセルが行われます。
そこから価格が反対方向に動いた場合、利食/損切指値注文が約定する水準には届かないが、もう一方の注文はすでにキャンセルされているという状況になる可能性があります。
例
田中さんが、BTCの指値買い注文を40,000 USDTで発注しました。同時に、以下の利食/損切指値注文を事前設定しました。
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指値注文価格:40,000 USDT
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注文数量:1 BTC
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利食設定:トリガー価格50,000 USDT、注文価格50,500 USDT
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損切設定:トリガー価格30,000 USDT
BTCの価格が40,000 USDTに達したと仮定します。指値注文が約定し、利食/損切注文が発注されます。
シナリオ1:価格が50,000 USDTに上昇すると、利食注文がトリガーされます。注文価格50,500 USDTで指値売り注文が注文板に発注され、約定待ちとなります。損切注文はキャンセルされます。
シナリオ2:価格が30,000 USDTに下落すると、損切注文がトリガーされ、成行売り注文が発注されます。1 BTCは、利用可能な最良市場価格で売却されます。
注:
— 利食/損切指値注文を事前設定する機能は、統合取引アカウントでのみ利用可能です。統合取引アカウントへの更新方法については、こちらをご覧ください。
— 現物の指値買い注文に伴う利食/損切売り注文に関しては、利食注文のトリガー価格が指値注文価格よりも高く、損切注文のトリガー価格が指値注文価格よりも低い必要があります。
— 現物の指値売り注文に伴う利食/損切買い注文に関しては、利食注文のトリガー価格が指値注文価格よりも低く、損切注文のトリガー価格が指値注文価格よりも高い必要があります。
— 利食/損切の注文価格は、指値注文のトリガー価格に設定されている契約価格の制限を超えることはできません。たとえば、BTC/USDTの価格制限が3%の場合、利食/損切買い注文の価格はトリガー価格の103%を超えてはなりません。また、利食/損切売り注文の価格はトリガー価格の97%を下回ってはなりません。シンボルごとの具体的な価格制限については、現物取引ルールを参照してください。
— 取引される金額または価値が、指値注文の約定後に最低注文要件に満たない場合、利食/損切のトリガー後に発注や約定が行われない可能性があります。