Bybitの最新アップグレード版「利食い/損切り(TP/SL)機能」は、利食い/損切り注文を同時に設定できるようになり、以前よりさらにリスク管理がしやすくなりました。この機能では、指値注文、成行注文、条件付き注文を注文ゾーンから直接発注する際に、利食い/損切り注文を事前に設定することができます。また、注文が約定する前に利食い/損切り価格を変更することも可能です。
- 利食い注文は、市場価格が事前に設定した価格に達すると約定します。この機能により、自動で利益を確定して取引を終了できます。
- 一方で損切り注文は、市場価格が事前に設定した価格に達すると約定します。自動的に取引を終了することで、過度な損失を回避できます。
利食い/損切り注文を適用する場合、以下の2種類のオプションがあります。
1. ポジション全体:利食い/損切りがポジション全体に適用されます。この設定では、1つのポジションに対し1つの利食い/損切り注文を発注できます。利食い価格(または損切り価格)に達した場合、ポジション全体が常に成行注文で決済されます。
2. 現在の注文/部分ポジション: 利食い/損切りが現在の注文数量に適用されます。この設定では、1つのポジションに対し複数の利食い/損切り注文を発注できます。それぞれの利食い/損切り注文が利食い(または損切り)のトリガー価格に達した場合、それぞれの利食い/損切り注文は成行注文または指値注文で決済されます。また、対応する損切り(または利食い)注文はキャンセルされます。
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注:無期限契約・先物契約の利食い/損切りは、現物取引の利食い/損切りとは異なります。現物取引の利食い/損切りの詳細については、こちらをご覧ください。
最新の利食い/損切り機能と従来の利食い/損切り機能の比較
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1. ROI(%) 2. 変化率 3. 損益 |
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例
下記のシナリオを参考に、Bybitの利食い/損切り機能について分かりやすく解説します。
シナリオ1:複数の利食い/損切り注文を同時に保有する場合
BTCの現在の市場価格が25,000ドルで、田中さんは1 BTCのロングポジションを保有しており、それと同時に以下の複数の利食い/損切り注文を設定していると仮定します。
利食い/損切り注文A
- 利食い/損切りの設定:部分ポジション(条件付き成行注文)
- 利食いトリガー価格:26,000ドル
- 数量:0.5 BTC
利食い/損切り注文B
- 利食い/損切りの設定:部分ポジション(条件付き指値注文)
- 利食いトリガー価格:30,000ドル
- 注文価格:30,500ドル
- 数量:0.5 BTC
利食い/損切り注文C
- 利食い/損切りの設定:ポジション全体
- 損切りトリガー価格:23,000ドル
- 数量:1 BTC
利食い/損切り機能は、以下に示す市況において、それぞれ次のように機能します。
a)BTCの市場価格が26,000ドルに達すると、利食い/損切り注文Aがトリガーされ、0.5 BTCのポジションが市場価格で決済されます。この時、田中さんは0.5 BTCのポジションを残しており、利食い/損切り注文BとCは引き続き有効です。
b)BTCの市場価格が27,000ドルに達すると、田中さんは0.1 BTCを手動で決済し、残りのポジションは0.4 BTCとなりました。この時、利食い/損切り注文BとCはまだ有効な状態です。
c)BTCの市場価格が30,000ドルに達すると、利食い/損切り注文Bがトリガーされ、30,500ドルの利食い指値注文Bが注文板に掲載され、約定待ちとなります。
- 価格が30,500ドルに達すると、利食い指値注文Bが約定し、残りの0.4 BTCのポジションが決済されます。この時、利食い/損切り注文Cは自動的にキャンセルされます。
- 価格が30,500ドルに到達せず、23,000ドルまで下落した場合、ポジション全体の利食い/損切り注文Cがトリガーされます。つまり、残りの0.4 BTCのポジションは市場価格で決済されます。この時、利食い指値注文Bと注文Cの超過分(0.1BTC)はキャンセルされます。
シナリオ2:利食い/損切り注文が既に存在し、利食い/損切り註文が設定されている新規注文(現在の注文)が約定する場合
BTCの現在の市場価格が25,000ドルで、田中さんは1 BTCのロングポジションを保有し、以下の利食い注文を設定していると仮定します。
利食い/損切り注文A
- 利食い/損切りの設定:部分ポジション(条件付き成行注文)
- 利食いトリガー価格:26,000ドル
- 数量:0.5 BTC
田中さんは1 BTCを24,000ドルで購入する指値注文およびその1 BTCに対して新規の利食い価格を27,000ドル、損切り価格を22,000ドルで設定し、同時に発注しました(現在の注文)。
利食い/損切り機能は、以下に示す市況において、それぞれ次のように機能します。
a)市場価格が24,000ドルまで下落すると、0.5 BTCのポジションが部分約定されます。これにより、現有ポジションサイズは1 BTCとなります。また、以下のように新規の利食い/損切り注文が発注されます。
利食い/損切り注文B
- 利食・損切注文設定:部分的に利食・損切
- 利食いトリガー価格:27,000ドル
- 数量:0.5 BTC
- 損切り価格:22,000ドル
- 数量:0.5 BTC
b)BTCの市場価格が26,000ドルに達すると、利食い/損切り注文Aがトリガーされ、0.5 BTCのポジションが市場価格で決済されます。この時、田中さんは残りの0.5 BTCのポジションを保有しており、利食い/損切り注文Bは引き続き有効な状態です。
c)BTCの市場価格が24,000ドルに達すると、残りの0.5 BTCの指値注文が約定し、別の0.5 BTCの利食い/損切り注文Cが発注されます。この時、田中さんのポジションサイズは1BTCに増加し、2つの利食い/損切り注文BとCが適用されます。
利食い/損切り注文C
- 利食・損切注文設定:部分的に利食・損切
- 利食いトリガー価格:27,000ドル
- 数量:0.5 BTC
- 損切り価格:22,000ドル
- 数量:0.5 BTC
シナリオ3: 利食い/損切り注文がすでに存在しており、ポジション全体に対して損切り注文のみが設定された新しい注文が約定される場合
BTCの市場価格が30,000ドルで、田中さんは1 BTCのロングポジションを保有し、以下の利食い/損切り注文を設定していると仮定します。
- 利食い/損切りの設定:ポジション全体
- 利食いトリガー価格:35,000ドル
- 損切りトリガー価格:20,000ドル
- 数量:1 BTC
次に、田中さんは28,000ドルで0.5 BTCを購入する指値注文を発注しました。この時の新規の損切り注文は以下のとおりです。
- 利食い/損切りの設定:ポジション全体
- 損切りトリガー価格: 18,000ドル
- 数量:0.5 BTC
BTCの市場価格が28,000ドルに達すると、指値注文は全数量約定し、ポジションサイズは1.5BTCに増加します。これに伴い、既存の利食い/損切り注文に代わって、新規の損切り注文が次のように適用されます。既に存在していた利食い/損切り注文はキャンセルとなります。
- 利食い/損切りの設定:ポジション全体
- 損切りトリガー価格:18,000ドル
- 数量:1.5 BTC
シナリオ4: 註文作成時に利食い/損切り注文を設定し、同時に註文を提出する場合
田中さんはBTCの註文価格30,000ドルで、0.8BTCの買い指値注文を提出し、同時に以下の利食い/損切り注文を設定していると仮定します。
利食い/損切りの設定:現在の注文
数量:0.8 BTC
利食い(指値)トリガー価格:40,000ドル: 註文価格:41,000ドル:
損切り(成行)トリガー価格:20,000ドル
価格が 30,000ドルに達し、買いロング注文が約定され、利食い (指値) と損切り (成行) が発注されると仮定します。 利食い/損切り機能は、次の市況において次のように動作します。
a. 価格が40,000ドルに達すると、利食い注文がトリガーされ、注文価格41,000 ドルで指値決済注文が註文板に掲載され約定待ちになります。この時点で利食い指値注文はまだ約定していませんが、トリガー価格$20,000の損切り (成行) 注文はキャンセルされます。これは、システムがこの一組の利食い/損切り註文をセットとして扱うためです。利食いトリガー価格に達すると、トリガー条件が満たされたとみなされ、対応する損切り注文がキャンセルされます。
b. 利食い注文がまだ約定してないため、利食い注文のトリガー時に損切り注文がキャンセルされるのを望まない場合、利食い注文と損切り注文を個別に設定するか、ポジション欄の「指値注文による決済」にて利食い註文を設定することができます。
よくある質問(FAQ)
現在の利食い/損切り注文と注文履歴を確認するにはどうすればよいですか?
トリガーされていない利食い/損切り注文は、現在の注文から確認できます。トリガーまたはキャンセルされた利食い/損切り注文は、註文履歴から確認できます。
部分ポジションの利食い/損切りで設定できる注文数量の合計が、保有ポジションの約定数量を超えるのはなぜですか?
トレーダーは、部分ポジションモードにより複数の利食い/損切を設定し、注文数量を指定することができます。部分ポジションの利食い/損切りにおける注文数量は、指定された注文数量または未決済ポジションの最大約定数量のいずれか低い方に従って執行され、対応する損切り(または利食い)注文は取り消されます。反対方向のポジションは成立しません。
損切りを50%で設定した場合、なぜ損切り価格がポジションの強制決済価格と同じになるのですか?
このようなケースは、最大レバレッジを使用した場合に発生します。例えばBTCUSDT契約の場合、最小リスク制限レベルで利用可能な最大レバレッジは100倍です。この時、100倍レバレッジの必要証拠金は1%、維持証拠金は0.5%となります。
つまり、維持証拠金(0.5%)は必要証拠金(1%)の50%になります。したがって、このようなケースでは損切り価格が強制決済価格と同じなります。
注:
・ポジションに表示されているROI(%)/損益に関係なく、マーク価格が強制決済価格に達した時点で強制決済が行われます。
・強制決済価格を超えている損切り価格はトリガーされず、強制決済が行われるとキャンセルされます。
強制決済価格を超えた損切り価格を設定できるようになっているのはなぜですか?
トレーダーは異なる取引戦略をそれぞれ持っており、Bybitはトレーダーの選択肢を制限したくないと考えています。そのため、たとえそれが強制決済価格を超えていたとしても、トレーダーが希望する損切り価格を設定できるようにしています。ただし、設定を確定する前に、希望する損切り価格が正しく設定されているかどうかを確認するようにしてください。
ポジションサイズが最大注文数量より大きい場合、ポジション全体の利食い/損切りはどうなりますか?
BTCUSDTを例に挙げると、注文ごとの最大注文量が100 BTC で、トレーダーのポジションサイズが 1,000 BTC であると仮定すると、システムは最初に100 BTC の注文を註文板に送信します。最初の注文が約定後、システムはさらに100 BTC 注文を送信し、以下同様に続きます。この性質上、未決済の残りの注文は依然としてリスクにさらされており、清算の対象となります。システムは、ポジション全体が完全に決済されるか強制決済のいずれかが先に起こるまで、最大注文数量で利食い/損切注文を送信し続けます。
統合取引口座での無期限契約および先物契約取引の場合、発注プロセスは6回に制限されていることに注意してください。残りの未決済のポジションサイズについては、トレーダーは新しい注文を送信して手動で決済する必要があります。
損切りを設定したにもかかわらず、なぜポジションが強制決済されたのでしょうか?
考えられる理由の1つとしては、損切りのトリガー価格として不適切な基準価格を選択したため、ポジションが強制決済された可能性があります。Bybitでは、マーク価格を強制決済のトリガー価格として使用しています。詳細については、こちらの記事をご参照ください。
私は損切の参照価格としてマーク価格を選択し、損切価格は強制決済価格の前に設定しています。これでも強制決済は発生するのですか?
これは、損切註文の執行がポジション証拠金と比較してより大きな損失につながることをシステムが検出した場合に発生する可能性があります。註文板の利用可能な最良価格がポジションの破産価格よりも不利な場合、損切注文は、当初のポジション証拠金と比較してより大きな損失につながる価格で約定されます。そのため、この損切註文の執行が行われた場合、証拠金以上の損失が発生し、その損失分をカバーするために利用可能残高から資金を差し引く必要があります。したがって、システムは代わりにこれを強制決済として登録し、赤字が保険基金によってカバーされるようにします。
価格チャートが強制決済価格に達していないにもかかわらず、ポジションが強制決済されたのはなぜですか?
Bybitは、最終取引価格ではなく、マーク価格を強制決済のトリガー価格として使用しています。詳しくは、こちらをご覧ください。