コピートレードProとは?
コピートレードProはBybitが提供する金融商品の1つで、利用者(投資家)は熟練したトレーダーであるプロマスターの戦略に投資できます。この定期的に提供されるクローズドエンド型の金融商品では、プロマスターが自身の戦略を提示して資金を募り、投資家の利益から利益分配を受け取れます。投資家はシェアの購入によりプロマスターの戦略に投資することで、主体的に取引を行わずに利益を得られる可能性があります。
主なメリット
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幅広い投資機会:コピートレードPro戦略は、個別的な取引戦略に比べ、より幅広い取引シグナルを対象として取引できます。
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エキスパートによる運用:プロマスタートレーダーの知識と経験を活用することにより、より優れたリターンが期待できます。
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実行ラグなし:プロマスタートレーダーの取引戦略はすべて、従来のコピートレードに見られる時間的なラグなしにリアルタイムで実行されます。
主要用語
戦略 |
プロマスターが作成する取引計画。トレーダーや投資家が拠出する資金が使用されます。 |
プロマスター |
コピートレードPro戦略を作成し管理する熟練したトレーダーを指します。 |
投資家 |
コピートレードPro戦略への投資を選択した利用者を意味します。 |
純資産価値 |
コピートレードPro戦略のポートフォリオ合計価額を現在のシェア数で除した数値です。 |
公開戦略 |
利用者すべてが投資できるコピートレードPro戦略を指します。 |
非公開戦略 |
プロマスターの決定に基づき選ばれた投資家だけが投資できるコピートレードPro戦略を指します。 |
最低マスター残高 |
プロマスターが戦略を作成するにあたり、自らが用意すべき最低USDT額を指します。 |
戦略の投資額上限 |
戦略の種類によって申し込み可能なシェア数の上限を指します。戦略の投資額無制限は、安定戦略と現物オンリー取引にのみ適用されます。 |
シェア |
戦略に参加するには「シェア」を購入する必要があります。購入したシェアは、戦略の全所有権と原資産の一部分を表章します。 |
シェア数上限 |
投資家が戦略に参加するために購入できるシェア数の上限を指します。 |
ポジションの純資産価値 |
戦略が保有する全ポジションのその時点における資産価値を指します。 |
シードラウンド |
プロマスターが作成した戦略に対して投資家が資金を拠出できる特定の期間を指します。コピートレードProの資金調達期間は通常3日間です。 |
ロックアップ期間 |
ロックアップ期間とは、投資家が戦略から資金を引き出したり、投資額に変更を加えたりできない180日間を指します。ただし、週特定日の応募・償還ウィンドウ期間は除きます。 |
投資ウィンドウ |
投資家が戦略への投資を自由に行える期間を指します。 |
償還ウィンドウ |
投資家が戦略の株式の償還を自由に求めることのできる期間を指します。 |
利益分配 |
投資家の投資リターンは、投資の償還を求めた時点の1シェアあたり純資産価値に直接連動します。純資産価値が投資時のそれを上回った場合は、投資家に利益が発生したことになり、戦略の満期日またはシェアの償還時に、その利益の一定割合をプロマスターと共有する必要があります。 |
戦略のライフサイクル
サイクル |
説明 |
プロマスターのオンボーディング |
プロマスターは戦略に関する申込書を提出、続いてBybitのコピートレードガイドラインへの準拠を確認するための審査が行われます。 |
戦略の作成 |
戦略専用のサブアカウントが作成されます。マスタートレーダーはそのサブアカウントに資金を入金します。 |
シードラウンド |
投資家は戦略に対して資金を拠出。コピートレードProのサブアカウントの振替機能は無効化されます。 |
取引(180日のロックアップ期間) |
この期間中、プロマスターはプールされた資産を使用して取引を開始できます。 |
投資・償還ウィンドウ |
ロックアップ期間であっても、投資家は指定のウィンドウ期間中に限り、戦略への応募やシェアの償還を請求できます。 |
決済ウィンドウ |
システムは戦略の純資産価値を算出することにより、投資家の償還請求への対応を支援します。 |
戦略の満期 |
戦略が満期を迎えた段階で、システムはロックアップ期間後の戦略の純資産価値に基づいて各投資家のシェア数と利益分配額を算出し、投資家のBybitアカウントに振替えます。 |
戦略の種類
安定型 |
積極型 | |
最大レバレッジ |
5倍 |
10倍 |
最低マスター残高 |
10% |
15% |
戦略の投資額上限 |
無制限 |
100万 |
取引の種類 |
現物オンリーまたはハイブリッド(デリバティブ + 現物) |
ハイブリッド(デリバティブ + 現物) |
しくみ
例
プロマスターAが以下の内容の戦略を作成するとします。
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シェア数上限:1,000,000シェア
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取引スタイル:ハイブリッド(デリバティブ + 現物オンリー)
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戦略スタイル:安定型
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最低マスター残高比率:10%
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最低マスター残高:シェア数上限の10% = 100,000シェア
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利益分配比率:20%
上記より、プロマスターAは、戦略の作成を成功させるため、メインアカウントの資金調達アカウントに100,000 USDTを用意する必要があります。戦略の作成に成功し、シードラウンドフェーズが終了した段階では、戦略は以下のようなものになります。
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シードラウンド期間中に購入されたシェア数:400,000シェア
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当初純資産価値 = 1.00
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調達資金 = 400,000 USDT
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戦略の純資産 = 500,000 USDT(プロマスター自身が投資した100,000 USDTを含む)
この戦略は、初期純資産額500,000 USDTでロックアップ期間(T日)に入ります。T+4にプロマスターAの戦略に100,000 USDTの利益が発生したと仮定すると、戦略の純資産は600,000 USDTになります。
純資産 |
600,000 USDT |
株式総数 |
500,000 |
T+5時点の純資産価値 |
600,000 ÷ 500,000 = 1.2 |
T+5の投資ウィンドウ期間中に、投資家Bはこの戦略に60,000 USDT投資することを決定します。投資家Bは、T+6の11:00(日本時間)ごろに割り当てシェア額を確認できます。
純資産 |
600,000 + 60,000 = 660,000 USDT |
T+5時点の純資産価値 |
1.2 |
購入シェア数 |
500,000 |
投資家Bの投資 |
60,000 USDT ÷ 1.2 = 50,000シェア |
購入シェア総数 |
500,000 + 50,000 = 550,000 |
T+5に、投資家Cは10,000シェアの償還請求を行います。投資家Cは、T+6に更新される純資産価値に基づいてT+6にプロマスターが償還のための資金を準備するまで待つ必要があります。株式に変動がないと仮定すると、T+6日の戦略は以下のようになります。
純資産 |
660,000 USDT |
T+6時点の純資産価値 |
660,000 ÷ 550,000 = 1.2 |
投資家Cのための償還資金 |
10,000 x 1.2 = 12,000 |
償還シェア数 |
10,000シェア |
保有シェア総数 |
550,000シェア(10,000シェアの償還待ち) |
T+7に、投資家Cの償還は自動的に決済されます。戦略の保有シェア総数は 540,000シェア(550,000-10,000)になります。
利益分配
ロックアップ期間後、プロマスターAの戦略のポジション価額が800,000 USDTに上昇したと仮定します。シェア総数は540,000シェアです。
純資産 |
800,000 USDT |
純資産価値 |
800,000 ÷ 540,000 = 1.4815 |
投資家Bのシェア数 |
50,000 |
Bの償還総額 = 1.4815 × 50,000 = 74,075 USDT
BのAに対する利益分配 = 50,000 × (1.4815 - 1.2) × 20% = 2,815 USDT
Bの純利益 = 74,075 - 60,000 - 2,815 = 11,260 USDT
上記の例はあくまで説明用です。詳細な説明および計算については、以下の記事をご参照ください。
強制決済のメカニズム
極端なリスクが検知された場合、システムは投資家資金の保護と将来の償還請求の円滑化を確実にするため、自動的に戦略の肩代わりを実施します。
以下のいずれかの場合、システムは戦略の肩代わりを実行します。
ケース1:純資産価値 < 0.30000となった場合、投資家への保有シェアの償還が確実にできるよう、システムは戦略を肩代わりして、ポジションを決済します。または
ケース2:維持証拠金率(MMR) ≧ 100%になった場合、統合取引アカウント(UTA)のプロセスと同じロジックに従って、強制決済プロセスが始動します。
リスク
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市場リスク:市場リスクは金融市場におけるすべての投資に本来的に備わっているリスクです。コピートレードPro戦略の原資産価値の変動に伴い、投資に損失が発生する場合があります。
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マスタートレーダーの取引実績:投資に利益が発生するか否かは、戦略を管理するプロマスターのスキルと取引実績に大きく依存します。過去の取引実績は必ずしも将来の結果を示すものではなく、プロマスターがプラスのリターンを達成する保証はありません。
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支配力は限定的:投資家は、コピートレードPro戦略に投資する段階で、個々の取引判断に対する支配権を放棄しなければなりません。戦略の取引を積極的に管理することはできません。
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戦略の設計:コピートレードPro戦略の取引計画はあらかじめ定められたものであるため、投資家のリスク許容度や投資目的と完全に一致するとは限りません。投資に先立ち、戦略の詳細を慎重に分析する必要があります。
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強制決済リスク:戦略の純資産価値が持続的に一定のしきい値を下回った場合、戦略は強制決済される場合があります。その場合、強制決済時の残存資産価値にもよりますが、投資に大きな損失が生じる可能性があります。
コピートレードとコピートレードProの違い
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コピートレードPro |
コピートレード |
取引市場 |
現物 USDT無期限 USDC無期限 |
USDT無期限のみ |
役割 |
プロマスターと投資家 |
マスタートレーダーとフォロワー |
コピーモード |
プロマスターが投資家の資金を完全に管理するクローズドエンド型戦略 |
フォロワーの取引はマスタートレーダーからのシグナルに基づいてコピーされる |
利益分配 |
0%~30% |
0%~15% |
マスター/トレーダーの参入要件 |
プロマスターは、最低マスター残高として自身の戦略に資金総額の10%~15%を投資する必要があります。 |
マスタートレーダーは、コピートレードを始めるにあたって資金総額の特定割合を投資する必要はありません。 |
投資家/フォロワーの投資資金の管理 |
プロマスターが投資額を完全に管理し、投資家は関与しません。 |
フォロワーは、レバレッジ、マージンモード、利食い/損切りなどの取引パラメータを設定できます。 |
取引手数料率 |
お客様のVIPランクにかかわりなく、コピートレードProで実施されるすべての取引にVIP 1の手数料率が適用されます。 |
お客様のVIPランクの手数料率が適用されます。 |