統合取引アカウント(UTA)では、クロスマージンモードとポートフォリオマージンモードの両方が利用可能であり、それらを利用して取引の柔軟性と資本効率を高めることができますが、アカウントの維持証拠金率(MMR)が100%になると強制決済が発動し、大きな損失が発生する可能性があることを知っておく必要があります。
トレーダーが損切注文によりポジションの保全を図っている場合であっても、価格が損切価格に達する前にMMRが100%になる場合があり、大きなリスクを負う可能性があります。したがって、損切注文により問題が解決されるとはいえません。
Bybitでは、総合的なリスク管理ソリューションの必要性を考慮して、UTAにおける維持証拠金率(MMR)決済注文を導入しています。これはトレーダーを支援するツールで、アカウントのリスクプロファイルを事前に管理し、仮想通貨取引に内在するボラティリティへの耐性を強化できます。
MMR決済注文のしくみ
いずれかのポジションについて、アカウントのMMRが、トリガーとして事前に設定したMMRに達した場合、そのポジションは成行注文により完全に決済されます(決済価格は利用可能な最良価格となります)。なお、MMR決済注文が行えるのは、現在のところUTAでクロスマージンモードを利用する場合に限ることにご注意ください。また、MMR決済注文の対象となる取引はUSDT無期限、USDC先物および無期限契約に限ります。
MMR決済注文の設定を行う場合は以下の点にご注意ください。
1. MMR決済注文の発注は、ポジション開始後に表示されるポジションタブからの発注に限ります。
2. ポジションの一部数量についてMMR決済注文を発注することはできません。また、各ポジションについて設定できるMMR決済注文は1件だけです。
3. MMR決済注文の執行によりアカウント全体のMMRが上昇するとシステムが判断した場合、システムはそのMMR決済注文を拒否します。たとえば、MMR決済注文により特定のポジションを閉じた場合、そのポジションと他のポジションとのヘッジ関係も解消され、それによりアカウントのリスクが上昇します。
4. 発注済みのMMR決済注文がある場合、マージンモードの切り換えはできません。
5. トリガーとして事前に設定するMMRの値は、アカウントの現在のMMR以上かつ90%以下とする必要があります。
6. 複数のポジションが、設定済みの同一トリガーMMRに達したことにより、複数のMMR決済注文が同時に発動した場合は、事前決定済みの強制決済順序に従って強制決済を行います。
7. 複数のMMR決済注文について、MMRが同時にトリガーに達した場合、たとえばBTCUSDTのトリガーMMRが50%でありETHUSDTのトリガーMMRが55%である場合は、BTCUSDTのMMR決済注文が先に執行されます。システムは、BTCUSDTのポジションを閉じた後で、アカウントのMMRがETHUSDTの強制決済条件であるMMR(この例では55%に設定)に達しているかどうかを確認します。アカウントのMMRが55%未満である場合、ETHUSDTのMMR決済注文は発動せず、MMRが再度55%に達するまで保留されます。このしくみにより、トリガー条件に基づいた論理的な順序で各MMR決済注文が執行されます。
8. 不測の市況変動によりMMRが瞬時に100%に達した場合は、MMR決済注文が発動されない可能性があり、その場合は強制決済が実行されます。たとえば、MMR決済注文のトリガーを90%に設定している場合に、MMRが89%から100%へと突然上昇すると、強制決済が優先的に発動されます。
MMR決済注文の発注
「ポジション」タブに移動して「Set TP/SL(利食/損切の設定)」をタップするとポップアップウィンドウが表示されます。そのウィンドウの「MMR Close(MMR決済注文)」タブで任意のトリガーMMRを設定し、「確認」をタップして注文を確認します。
注:
自分のポジションのトリガーMMRはいつでも編集できます。
MMR決済注文をキャンセルしたい場合は、「現在の注文」タブで既存のMMR決済注文の詳細を表示し、「キャンセル」をタップします。