維持証拠金は、取引のポジションを維持するために必要不可欠です。本記事では、USDT無期限契約での計算方法について詳しくご紹介します。
維持証拠金とは
維持証拠金は、ポジションを保有し続けるためにポジションやアカウントで維持しなければならない最低数量の証拠金のことです。未実現損失が発生し、保有ポジションまたはアカウント内でポジションマージン残高が必要な維持証拠金レベルを下回ると、強制決済がトリガーされます。
保有する契約価額(ポジション価額 + 注文価額)が特定のレベルに達するごとに、必要な維持証拠金も一定の比率で増加します。各通貨ペアには維持証拠金に関して基準率があり、リスク制限ランクの変化に応じて調整されます。
たとえば、ポジション価額2,000,000 USDT以下でBTCUSDTのポジションを建てる場合、ポジションに必要な維持証拠金率(MMR)はポジション価額の0.5%です。ポジション価額が2,600,000 USDTまで増加すると、必要なMMRもポジション価額の0.56%に上がります。
リスク制限の詳細については、こちらのガイドをご覧ください。
維持証拠金率(MMR)の計算方法
各ポジションの維持証拠金率(MMR)は、ポジション価額の証拠金利用率に応じて、ランクに基づく計算式で決定されます。特定のランクを超えると、新しいランクのMMRに基づいた計算式が適用されます。
例
以下の表は、XYZUSDT契約のマージンパラメータを示しています。
ランク |
リスク制限(USDT) |
必要維持証拠金率 |
1 |
0~1,000 |
2% |
2 |
>1,000~2,000 |
2.5% |
3 |
>2,000~3,000 |
3% |
4 |
>3,000~4,000 |
3.5% |
5 |
>4,000~5,000 |
4% |
10倍のレバレッジを使用し、35 USDTで100契約のロングポジションを建てたと仮定すると、この契約のポジション価額は3,500 USDTになります。
ポジション価額 = 契約数量 × 平均参入価格
= 100 × 35 = 3,500 USDT
必要証拠金 = ポジション価額 ÷ レバレッジ
= 35 × 100 ÷ 10 = 350 USDT
維持証拠金 = ポジション価額 × MMR
= (1,000 × 2%) + (1,000 × 2.5%) + (1,000 × 3%) + (500 × 3.5%)
= 92.5 USDT
これは、最大で257.5 USDT(350 USDT - 92.5 USDT)の未実現損失(マーク価格を用いて計算)まで、このポジションが強制決済されずに耐えられることを意味しています。
計算式
維持証拠金の計算方法に関する上記の説明で示されているとおり、大きなポジション価額を取引する際には計算が非常に複雑です。以下の式を使用すると、ポジション維持証拠金を簡単に計算できるようになります。
ポジション価額 = 契約サイズ × 平均参入価格
維持証拠金(MM) = (ポジション価額 × MMR) - 維持証拠金控除額
これに対し、
ランクnの維持証拠金控除額 = ランクn-1のリスク制限 × (ランクnとランクn-1のMMRの差) + ランクn-1の維持証拠金控除額
各リスク制限ランクに必要なMMRと維持証拠金控除額は、マージンパラメータのページで簡単に確認できます。
例
以下の表は、ETHUSDTのマージンパラメータを示しています。
ランク |
リスク制限 |
最大レバレッジ |
維持証拠金率 |
維持証拠金控除額 |
1 |
0~100,000 |
25 |
2% |
0 |
2 |
>100,000~200,000 |
20 |
2.5% |
100,000 × (0.5%) + 0 = 500 |
3 |
>200,000~300,000 |
16.67 |
3% |
200,000 × (0.5%) + 500 = 1,500 |
4 |
>300,000~400,000 |
14.29 |
3.5% |
300,000 × (0.5%) + 1,500 = 3,000 |
5 |
>400,000~500,000 |
12.5 |
4% |
400,000 × (0.5%) + 3,000 = 5,000 |
*上記の表は単なる例示であり、実際の証拠金データを示すものではありません。最新の証拠金データについては、常にこちらのページをご参照ください。
例1
田中さんはレバレッジ10倍、価格4,000 USDTで100 ETHのロングポジションを建てます。
ポジション価額 = 100 × 4,000 = 400,000 USDT(ランク4)
必要証拠金 = 400,000 ÷ 10 = 40,000 USDT
維持証拠金 = 400,000 × 3.5% - 3,000 = 11,000 USDT
これは、最大で29,000 USDT(40,000 USDT - 11,000 USDT)の未実現損失まで、このポジションが強制決済されずに耐えられることを意味しています。
例2
佐藤さんはレバレッジ10倍、価格4,000 USDTで50 ETHのETHUSDTロングポジションを建てると同時に、3,000 USDTで50 ETHの買い指値注文を行います。
ポジション価額 = 50 ETH × 4,000 = 200,000 USDT(ランク2)
ポジション維持証拠金 = 200,000 × 2.5% - 500 = 4,500 USDT
注文維持証拠金 = 50 ETH × 3,000 × 3.5% = 5,250 USDT
必要維持証拠金の合計額 = 4,500 + 5,250 = 9,750 USDT
以上から、注文が約定されない場合、注文維持証拠金はランクに基づく式で計算されるのではなく、(ポジション価額 + 注文価額) で決定されるランクのMMRに基づいて計算されることがわかります。ポジション価額200,000 USDT + 注文価額150,000 USDTのランクで必要なMMRは3.5%です。
買い注文が今約定されたと仮定すると、必要維持証拠金の合計額は以下のようになります。
平均参入価格 = [(50 × 4,000) + (50 × 3,000)] ÷ 100 = 3,500 USDT
ポジション価額 = 100 ETH × 3,500 = 350,000 USDT(ランク4)
必要証拠金 = 350,000 ÷ 10 = 35,000 USDT
維持証拠金 = 350,000 × 3.5% - 3,000 = 9,250 USDT
注文が約定された後、必要維持証拠金は全体で9,250 USDTに減額されます。これは、最大で25,750 USDT(35,000 USDT - 9,250 USDT)の未実現損失まで、このポジションが強制決済されずに耐えられることを意味しています。
まとめ
ポジションと注文の維持証拠金に関する計算方法を理解しておくことは、Bybitで効果的なリスク管理を行うために重要です。これらの証拠金の計算方法を理解すれば、強制決済リスクを減らし、取引戦略を最適化するために賢明な判断を下せます。